一般企業から誕生した就労支援

フジ化学では「来る者は拒まず、去る者は追わず。広き門を」を信条に障がい者の採用をし続けてきた。一般企業であるフジ化学にとって障がい者も大事な戦力である。戦力になってもらう必要がある。だから障がい者ということで特別扱いはしない。健常者と同様に厳しく教える事もある。その分責任ある仕事も任せる。結果一人一人がフジ化学にとって無くてはならない戦力となった。しかし、2008年のリーマンショックが、一般企業での限界を教えてくれた。継続雇用や安定雇用が生活の質を支える土台であることも。そこからNEST(旧ココロネ)は誕生した。一般企業から誕生したNESTは「企業目線の就労支援」をコンセプトに様々な取り組みをしている。今、一般企業と福祉施設、両方の立場で障がい者の就労への問題解決を探り歩んでいる。

植松康好 (36才)

平成3年中学を卒業、一般就労でフジ化学入社。入社当時は戸惑うこともあった。そんな植松に対して会社の上司は決して甘くはなかった。他の従業員と同様に厳しく接した。フジ化学では障がい者を特別扱いせず、一人の戦力として考えている。上司は社会人として植松を一日も早く一人前にするために厳しく接した。中学時代、三年間柔道で鍛えられた植松は心身ともに強く、めげずに毎日少しずつ成長した。気がつけば20年が経ち、今ではスタッフを指導する立場である現場のリーダーとなり、責任ある仕事を任され、充実した毎日を過ごしている。

桜庭エミ (37才)

平成2年中学卒業。すぐには就職はしなかった。当時のフジ化学の前を毎日のように自転車で行き来していた。一年経ったある日、遠藤社長が声をかけた。「働いてごらん」と。実は桜庭は最初は仕事が嫌だった。とても繊細な性格で、それを分かっていた他の社員たちも余分な事は一切言わずに桜庭のペースに合わせ「待った」。桜庭は徐々に会社に慣れ、仕事に身が入るようになり、少しずつ積極的になり、いつしかフジ化学の戦力となった。現在はNESTの就労継続支援A型利用者として充実した毎日を過ごしている。

袴田和洋 (40才)

中学を卒業し職業訓練校を出た平成元年にフジ化学に入社した。入社当時から毎日コツコツ、特に問題もなくやってきた。とても責任感が強く、自分が扱った部品全てを絵に描き、記録を取って覚えた。この熱心さのおかげで仕事を覚えるのがとても早く、5・6年経った頃には新入社員に仕事を教えるほどに成長した。そんな袴田にとって勤続24年というのはあっという間だった。

会社の宝

フジ化学にとって障がい者雇用は特別な事ではなく、むしろ不可欠な戦力として積極的に障がい者を雇用していた。単純作業の繰り返しであっても彼らはその中に喜びを見つける。出された指示は100%素直に実践し、常に人の動きを見て積極的に改善をしていく。そんな彼らにフジ化学は責任ある仕事を任せ、達成する喜びを感じることが出来た彼らは、仕事を生き甲斐と感じ、会社が自分の人生そのものだと思うようになった。自然と努力・達成・喜び・努力・・・の好循環が生まれた。それはそのままフジ化学の躍進にもつながった。フジ化学にとって彼らは「戦力」であり「宝」である。

ココロネ誕生

多くの障がい者を雇用してきたフジ化学にとっても一般企業としては障がい者雇用に限界がありました。しかし周囲は雇用を期待していました。そんな中で今までの経験を生かし、より多くの障がい者が就労できるようにしていかなければ、という思いから就労支援施設「ココロネ」が誕生しました。一般企業から誕生した「ココロネ」の目的は「一般就労」という明確なものでした。先ず、安定した就労の受け皿として就労継続支援A型事業を設置しました。さらに就労の希望に応え就労へ繋いでいく、就労移行支援事業を開始しました。そして、一般就労の受け皿が乏しく、また一般就労達成までの道のりにおいて、それ以外の受け皿「稼げるB型」の必要性を感じ、就労継続支援B型事業を開始しました。ココロネのルーツはフジ化学です。そのフジ化学のキャッチフレーズとして「メッキは、ハートで強くなる。」という言葉があります。そのハートこそがココロネのルーツです。

NESTへ

就労継続A型事業から始まり、就労移行支援事業、就労継続B型事業、と事業拡大に伴い社内外とのより分かりやすく、より深いコミュニケーションを目的としてCI(Corporate Identity)を導入しました。「いつか、必ず、羽ばたく。」をスローガンとし、利用者が力強く飛び立つ事を願い施設名を「NEST」へと変更いたしました。

サッカー

2008年、リーマンショックにより仕事が激減しました。フジ化学も調整のための休業を余儀なくされました。障がい者にとってフジ化学へ通う事が一日のリズムになっていたため、生活のリズムが狂いそれが精神的な不安定にもつながっていました。そこで2009年1月にサッカー部を結成しました。しかし彼らはドリブルはもちろんスキップさえもできない状態でした。そこで、まずはスキップから教えることになりました。すると持ち前の素直さが練習の成果に最大の効果を発揮し、すぐにスキップそしてドリブルが出来るようになりました。毎日コツコツとドリブルを自主的に練習し、瞬く間にサッカーの形になりぐんぐんと上達しました。そして練習を始めて四ヶ月で出場した大会で準優勝、続いて出場した大会で優勝を果たしました。このサッカーを通じ、それまで奇跡の職場と言われていたのは実は奇跡ではなく利用者には元々力があるんだという事が証明されたました。彼らもさらに仕事にやりがいを感じ達成の喜びを知り、それが好循環を生みました。

農作業

農作業は作物を作る過程に生きていくための基本があります。そして一生懸命作った作物を収穫する時の喜びは成功体験になります。利用者はこの作業を通して、これから先どんなに厳しい時代がやってきても大丈夫な心と体を鍛えています。

企業実習

企業実習は企業側にとっては利用者を知る機会、利用者にとっては企業を知る良い機会になっています。企業はこの実習を通して利用者が充分戦力になるということを理解でき、利用者は一般就労への意識が高まります。NESTの目標のひとつである一般就労を実現するためにとても大切な取り組みです。

目標と評価の数値化

障がい者には言葉だけでは伝わりにくいマナーやルールを「見て伝える」ツール等を使用し視覚支援を行っております。さらに、目標と評価を数値化する事で「見える化」し、それに対しての工程表を作る事で利用者が見通しを付けやすくし、安心して作業に取り組めるようにしています。

ココロネ株式会社
〒418-0022 静岡県富士宮市小泉843-1 TEL 0544-21-9000 FAX 0544-21-9071

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